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 賀川豊彦没後3年目(1963年)に、神戸の「賀川記念館」は開館した。開館して早々、当時「カギっ子」対策として、後に「学童保育」として確立していく開拓的な取り組みであった「ひまわり学級」の開設があった。そのひとつの教室が、長田区番町地区の「天隣館」を教室として開設されたのが「ひまわり学級」であった。その最初の教師に抜擢されたのが、河野洋子先生である。

 このたび「六甲アイランド」(第1回では「ポートアイランド」誤って書いてしまった。また大きな間違いであるが、お母様のお名前を「しずこさん」と記したが、それは妹さんのお名前で、お母様は「斐子(あやこ)さん」であった。赤面するばかりである。ご容赦願いたい)のご自宅で、当時の新聞記事(昭和43年5月17日「神戸新聞」)を拝見することができた。これも今では大変貴重であるので、今回は「私わたし」というこのコラムを紹介しておきたい。

 なお、記事の中に記されているが、河野洋子先生は、昭和31年にご結婚、ご長男の「純」ちゃんをご出産のあと、昭和33年にはご主人の急逝というご不孝に会われている。
 そのため河野先生は、この新聞記事では「吉田洋子さん」となっている。「純ちゃん」がまだ11歳のときのものである。
記事の内容は、以下のとおり。



 苦労も楽しい思い出 

 長田・番町地区の“ひまわり学級”で2年間カギっ子の世話をして退職した吉田洋子さん(37歳)神戸市灘区篠原南町1−16
「先生なんでやめるんや」と“天隣ひまわり学級”=神戸市長田区四番町4−76=の保母さんをやめるという吉田さんに、同学級の子供たちは熱心にたずねた。
 同学級は41年5月、市教委の委託を受けて、賀川記念館が母子家庭や父子家庭、ともかせぎの多い同地区の「カギっ子」のため開いたもので、保母さんとして開設以来2年間にわたり、小学1年生から3年生まで25人の世話を続け、このほど退職した。
 「最初は建物だけで、何の道具もないところから始めました。古机を学校からもらって運び込むというありさまでした」
 しかし今では少し古びてはいるが2台のオルガンと1台のテレビも備え付けられている。
 月曜日から金曜日の午後1時になると、子供たちは宿題とおやつ代の20円を持って来る。
 「子供たちの希望をきいて、関東だき、うどん、ゆで卵などのおやつを作るのですが、学校の給食表を取り寄せ、同じものが重ならないよう気を使いました。甘いものよりこんなおやつを喜ぶんですよ」とニッコリ。
 「長田村当時、旧家だったという古い建て物を使っていたので、ケガをしないかとそればかり心配でした」
 吉田さんはクリスチャン一家に生まれ、貿易商だったお父さんたちと南京に住んでいたころ、故賀川豊彦氏を知ったという。終戦後内地へ引き揚げ、徳島県の旧制名西高女を卒業、賀川氏のもとで働きながら、25年に保母の資格を取って“ひまわり学級”の前身である市立長田保育所を振り出しに、賀川氏の関係する保育所で仕事を続け、31年の結婚とともに退職した。そのころの経験をかわれて同学級に招かれたという。ところが長男の純ちゃん(11)=市立六甲6年=が一つのときに夫がなくなり、それ以後は実家に身を寄せている。
 「だから、地元の人たち、特に母子家庭のお母さんとはよく話し合えるんです。忘年会だといって、お母さんたちと飲み屋に出かけて行ったことが、うれしかった思い出の一つとして残っています」とまたニッコリ。
 こんな一人三役の生活が続いたが、純ちゃんもむずかしい年ごろになり、「お母さん」とさびしそうな電話がよくかかって来る。そんなとき、同学級の子供たちは「そんな子供は殺してしまえ」とやきもちを焼くという。
 そこで退職の決意となったのだが「純ちゃんが大きくなって、わかってくれるようになれば、またやりたいと思っています。休みをいただいている間も、キャンプやレクリエーションがあるときは、お手伝いしたい」と後任の鈴木絹代先生(24)にバトンをわたし、一安心という表情だった。」



 河野先生は、このとき37歳の若さである。小学生であったご子息「純ちゃん」は、素敵な教育者として現在ご活躍である。
 今回ご自宅にお邪魔した折の写真も、ここに添えさせていただく。

               (2009年12月16日記す。鳥飼慶陽)





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