記念事業概要 スケジュール ニュースレター 神戸プロジェクト 実行委員会 新聞切り抜き 寄付のお願い
賀川豊彦とは 賀川の仲間たち 賀川の時代史 賀川の著作 関連ブログ 問い合わせ
懸賞論文
 馬島|とイエス団友愛救済所
お宝発見

賀川先生の献身の証し
貧民窟主題の小説書きたい
一粒の麦は生きている


  「Think Kagawa!」
  「賀川豊彦って誰?」
  「賀川資料館の雑芸員日誌」

 「第一玉手箱」神戸関係絵葉書
 馬島医師の神戸における働きは少しの期間であるが其の足跡は大きいものがある。
 今回の「玉手箱」のなかに、馬島医師から武内勝宛に留学先から送られた二枚の絵葉書が残されている。これの消印をみると留学中のシカゴ大学のあるシカゴから投函され、1921年(大正10年)9月2日と読み取れる。表には「神戸吾妻通五丁目賀川様方武内勝様」とあって、本文は、
ご健在を祝します。不断の御奮闘に感謝致します。職業紹介の方は如何ですか。アメリカの様な馬鹿に富んだ国で数十万人の失業者があるなどとは変な事です。昨日も今日も四ヶ月五ヶ月の無職者に会いました。何が一体その根本でしょう。何処かにまちがいがなくてはなりませぬ。私も失業者でありますが。
 とあり絵葉書の絵は、シカゴ美術館のWinslow Homerの絵のようである。その欄外の空白に馬島医師は、次の熱いことばを添えている

 打ち壊される大浪を眺めて 噫 平和が何時? 祈りませう 泣きませう
           *         *
 ところで、馬島医師の神戸での働きについては、葺合新川での「イエス団友愛救済所」(財団法人、大正7年8月27日設立)での働きがよく知られているが、彼が一家を挙げて住み込んで診療活動を行なった林田区(現在長田区)番町が彼の活動拠点であったようである。番町の名望家として知られる大本甚吉氏の協力もあってその持ち家のひとつ(五番町5丁目81)に診療所を設け「イエス団友愛救済所」の「出張所」としたのである。
 下記に紹介するのは、大正9年(1920年)3月7日付けの「神戸新聞」である。時代を髣髴させる記述であるが、今ではこれも貴重な記録である。殆ど句読点のない記事で、ここでは段落をいれるなど、いくらか読みやすくして取り出しておく。(2009年6月3日記す。鳥飼慶陽)

 虐げられた人々の為に身を委す若き医師
   新川部落の憐れな貧困者を闇から救ふ友愛診療所
(神戸新聞、大正9年3月7日)
昨年七月頃から、市内の葺合新川及び長田番町の二ヶ所に友愛診療所というのが置かれて、貧困者に対し無料で診療が施されている。同所のお医者さんは、すべての病者に対する取り扱いが丁寧で、動かせぬ患者には往診もしているが、親切なその診察振りに部落の人達は、あたかも神様のように崇めている。

そのお医者さんというのは、一昨年名古屋の医専を卒業した馬島|氏で、一年ばかり郷里の徳島に帰り、祖父である若林医学博士のもとにあって医学の研究をしていたが、同氏は中学時代から杜翁の著書を好んで読んでいたが、医専を卒業して実社会に触れるようになってからは、気の芽生でか少なからず杜翁に私淑して何かやらなければならぬという心の悶えで、南洋を志しては南洋方面に関する書籍を渉猟し、北海道を志してはさらに北海道に関する書籍や田地を知る人達の意見などを叩いて見た結果、どうしてもジッとしていることが出来なくなり、

昨年五月、名をレントゲンの研究に籍りて郷里を飛び出し、当地で計らず賀川豊彦氏に邂うて、一夕氏から虐げられている暗黒な社会層の有様を聞き、解放されたといっても繋縛から免れ得ず、益々藻掻きに藻掻きつつある彼等の生活、氏のこれに関する研究を聞いて、心は頓に動いて、遂に賀川氏と約束して、米国の伝道局から資金を仰ぐことになり、翻然北海道行きを廃めて、これらの社会層を研究し、自らその中に投じて、之が救済の手を差し伸べるべく、

昨年七月、先ず新川の賀川氏の許に友愛診療所を置き、次いで間もなく番町大本氏方に同様の診療所を設けて施療することになったが、徹底的に彼らを研究し救済するには、彼等の部落に全然身を投じなければならぬというので、今まで須磨町西代に私宅を構えていたのを、

先月二十日に家族全部を引具して、前記番町の診療所に引き移ったが、この時などは同町青年団の連中が勇み立って、氏の一家を連へ引越しの準備万端を整えて呉れたというが、現在同所には氏の妻女を始め母堂、令妹、令息などを迎え入れ、現に令妹はまだうら若い身をこの部落に投じ、白い看護婦服に包んで令兄の手助けをしているが、

馬島氏は曰く「只私は、人間として一切平等であるべき筈の人が、習慣の為に、社会の繋縛から脱し得ずに苦しんでいる人達を憐れに思うのです。先ず私は、茲二年なり乃至三年なりを只黙して研究し、この不幸な人達の真の友人として生きねばなりませぬ。これが私の一生の仕事になるでしょう」と深い決心の色を示している。




賀川豊彦献身100年記念事業実行委員会
東京プロジェクト 事務局  〒156-0057 東京都世田谷区上北沢3-8-19 賀川豊彦記念 松沢資料館内
神戸プロジェクト 事務局  〒651-0022 神戸市中央区元町通5-1-6 神戸共栄火災ビル7F