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 「第二玉手箱」資料番号1−8−1「武内勝氏の証言」
 春が来た。暖かくなった。身軽になる嬉しさ。何万円もするオーバを着て歩くよりオーバなしでおれる春を有難く思う。兎に角活動が自由になることは楽しいことである。ストーブの熱より太陽の熱がうれしい。雪国の人達も春はうれしいであろう。

 自然が美しく変化する。枯れ木に芽が出花が咲く。昆虫が甦って来る。かえるもとかげも、ふなもどじょうも皆気になって来る。山に野に、川に海に、人間は親しみ易くなる。

 わらびがりよし、しじみとりよし、魚釣りよし、自然に接する喜びは清くて幸福である。

 山で楽しい最も大きな一つは小鳥の声である。此の付近で最もうぐいすの多いのは六甲山である。山でうぐいすの声をきいて私はとてもたまらなく嬉しくなる。人間が自然を愛していたら、このうぐいすも自分の手のひらの上でも鳴くものと思う。

 花の美は実に楽しい。花にも特長があり梅の花は香りがどこかに淋しさがある。桜は寿命が短く遊女の如き憾みもある。ボタン、シャクヤク、次から次へと美しい花が咲く。実に見事である。

 またあるものは、花に美がなくとも香りが高いくちなしや木犀の金や銀の如きものがある。花も香りもよくないが柿や栗がある。ザクロの如きは花が美しく果が美しく芽も美しい。花や果は駄目でも梅の新緑は花より美しい。春は実に愉快である。何故に春の自然は美しいのであろうか。

 神の栄光を顕すためであろう。何うして地球の表面もかくも美しくなるのであるか。神様は性格が美であるからであろう。私にはその秘密が解らない。

 花は美しく咲くために全力を費やしている様である。小鳥もきれいな声で唱うが、力一っぱいであろう。神の栄光をあらわすために全力を用いているのである。

 春は人生の最も楽しい時である。楽しかるべきときに楽しみ得ないことがあるとすれば、それは病気しているのである。

 何故花の様に力いっぱい神の栄えのために美しくなれないのであろうか。人の目から観て美しくなれないか。美しくなると言えば、服装やパーマのことばかり考えるのは何故であろうか。何んなに多くの金をかけて作っても、心が神の栄えのためになっていなければ立派でない。

 人間にも香りがある。その香りは神の香りであろうか。電車の中で隣りや前に来る人が実に香料をぷんぷんさせているのであるが、人間らしい品位のある香りはない。

 人間の姿を最も美しくする方法は、心を美しくすることである。美顔術の鼻を高くしたり色を白くしたり赤くすることより心を美しくすることである。

 春は多くの教訓を与えるが、一番大切な教訓は、人生に新しい希望を与えて呉れることであります。
何人にも然り。失敗者にも亦希望を与える。枯れ木に花が咲く。冬眠の昆虫も元気になる。人間にも春がある。

 キリストは復活した。自然が復活しても、キリストが復活しても、自分が出来なければ詰まらないが、人間にも春がある。

 第一は時期を待つことである。待つことは静止することや眠ることだけでなく、時の来る準備をすることである。準備なきものに春はないであろう。勉強、技術、貯蓄、修養、職業、努力等々。然しより大切な点は、神の栄を現す準備であろう。

 第一は救われること、第二は清められること 第三は奉仕することである。

 人が罪を犯さず、潔い心をもって、神と人とに愛の奉仕をする処に春は来る。否それを出来ること自身が有難いことである。

 希望のない人生は地獄に等しい。世に最も気の毒な人がある。それは無希望の人である。
自殺者は失望者である。失望者が沢山ある。入学が出来なかった。結婚が出来ない。就職が出来ない。病気が治らない。商売に失敗した。

 入学が出来なくても勉強は出来る。頭が悪くとも技術は習得できる。失恋したって世界に人口は二十数億ありその半数は異性である。一人の男に一人の女は用意されている。何が心配か。

 就職が出来ない。ただで働く気なら何時でも働ける。一燈園に失業はない。宇都宮式保育園。或る女医の就職相談。商売に失敗した。儲けようと考えるから損をする。奉仕をするつもりなら食うだけのことは心配ない。 

 不治の病気は気の毒である。然し此の世には何うせ永くは住めない。永遠の生命を得て、気は治る。信仰すれば病気も殆どなくなる。失望するな。艱難は却って我等を強くする。

 試練にあって人はきたえられるのである。世の多くの苦労こそ勉強である。金持ちになったら此の経験が出来ない。 (2009年5月5日記す 鳥飼)





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